「シェアMP3」という名前は、言葉としてはシンプルですが、何が言いたいか、ずばりと分かるものでもありません。我ながら「言語明瞭なれど意味不明瞭」です。

何かもっと分かりやすい名前を正式に付けたいと思っているのですが、なかなかこれというものが思い浮かびません。いい名前があったら、教えてください。

現状では、無料コンテンツと有料プレミアムコンテンツの同時提供を意味する、Fred Wilson氏が作った造語「Freeminum」(フリーミアム)」が最も近い概念を表していると思います。フリーミアムを知るには、Chris Anderson氏の「フリー」という書籍を読むのが一番ですが、本を読む暇がない人は
同書のフリー版ページを読むだけでも概要は理解できると思います。

この「フリーミアム」という考え方には、賛否両論があるわけですが、インターネット時代の未来のビジネスモデルとして、音楽業界でも多いに応用できそうです。音楽が売れなくなって困っている音楽業界の人達は、違法コピーなんか糾弾している暇があったら、今からせっせとフリーミアムについて議論し、検討するべきでしょう。

で、
シェアMP3のすゝめのページでも、「無料版と有料版を区別し、有料版に付加価値を付ける」という、まさにフリーリアムなアイデアを例としたように、シェアMP3とフリーミアムという考え方は、非常に親和性が高いと思われます。

問題は、音楽におけるフリーミアムでは、何を「付加価値」とするべきか?、です。

一番簡単なのは、音質に差別でしょう。無料版=128kbs、有料版=320kbs、という具合です。でも、128kbsの音質は、いわゆるiTunes並みで、ポータブルミュージックプレイヤで聴くなら、十分に高音質です。もちろん320kbsと聴き比べれば劣りますが、余分にお金を払うだけの違いかと言われれば、多くの人にとって答えは「ノー」でしょう。

次に簡単なのは、写真でしょうか。有料版を買うと、写真あるいは写真をまとめたPDFのフォトブックが付いてくるという感じです。これは、ファンだったら喜ぶかも知れません。

次はビデオですね。プロモーションビデオもいいし、インタビュー映像や、動画での挨拶なんかもいいでしょう。ファンなら大いに楽しめるはずです。

ちょっと目先が変わったところでは、DRMの保護解除なんてのもあります。例えば、着歌フルでDRM制限のかかっている音源を無料で配布し、パソコンやiPodにコピーしたければ余分にお金を払ってもらうということです。この課金のシステムを誰もが簡単に行える用意するのは難しそうですが、アイデアとしては成り立つでしょう。

でも、こういったデジタルコンテンツは、フリーミアムという考え方からすると、むしろ「フリー」であるべきジャンルかも知れません。インパクトが足りないというか、決定的な「付加価値」にならないような気がします。絶対に他では手に入らない、唯一無二のもの、にこそ高い付加価値があると言えます。

デジタルコンテンツは、複製が用意で、大量に用意および配布することができるので、付加価値が認めにくい、とするなら、複製できないものにこそ付加価値がある、ということになります。

すぐに思いつくのは、ライブでしょう。ライブは、特定の場所、特定の時刻における、唯一無二の体験です。お金を払ったら、ライブが観られる、というのは、十分に高い付加価値だと思います。「録音された音楽は死んだ音楽」と語るボブディランが、iTunes Storeでライブのチケット付きでアルバムを販売したのは、記憶に新しいところです。アルバムの値段は、チケットの代金程度でしたから、実質アルバムは無料だったとも言えます。

似たものに握手会とか食事会の権利なんてのがありますね。

次は、メディアでしょう。今なら、CDということになると思います。CDも大量生産されたものですが、手元に所有する1枚を手に取って「自分だけのもの」と言うことができます。つまり唯一無二なのです。そのCDジャケットに直筆のサインでもあれば、付加価値はより高まります。

どれくらい需要があるか分かりませんが、生写真なんてのも、ある種のメディアと言うことになるでしょうか。

フリーミアムは、面白いコンセプトです。そして音楽でも大いに利用できそうです。問題は、誰もが認める付加価値をどこに見いだすか、ということで、こと音楽に限っては、その答えはまだ出ていないということでしょう。