ライブハウスやホールで、ライブを録音するためには、当たり前ですが、何らかの録音機器が必要です。御土産音源では、その場で複製を行って販売をしますから、高速複製が可能で音質劣化もないデジタルでの録音が必須です。
ライブ録音というと、舞台や会場に余分にマイクを立てたり、ミキサーから音を取り出したり、複雑な設備に加え、高価で高音質な録音機材を思い浮かべるかも知れません。しかし、実際のところ、予算が限られていて、エンジニアも帯同していないインディには無理です。
そこで、御土産音源では、録音は、1台だけで高音質で臨場感のあるステレオ録音ができる、PCMレコーダ(デジタルレコーダ、ICレコーダやハンディレコーダ、フィールドレコーダなどと呼ばれることもあります)で行います。しかもUSBメモリ/SDカードへの複製を考えて、録音メディアがSDカードのものを選びます。
世の中には、色々なPCMレコーダがありますが、indierevolution.jpでお勧めするのは、RolandのR-09HRです。
音質的なことを抜きにすれば、使いやすく、価格も安く、オプション機能とアクセサリが優位のZoom H2をお勧めしたいのですが、録音された音源がサブフォルダの中に保存されてしまうため、USBメモリ/SDカードに複製した際に、音源ファイルの場所が分かりにくく、具合が悪いのでR-09HRに軍配を上げました。
ちなみにH2の音質は、R-09HRに劣りますが、ライブ録音としては十分に許容範囲ですから、互いに比較する場合は、音質以外の使いやすさや、オプション機能とアクセサリも調べてください。特にレコーダをマイクスタンドに付けて使うことを考えると、スタンド用のアダプタがついてくるH2のがお勧めです。R-09HRではアダプタはオプションで、しかも決して安くありません。一方、R-09HRにはリモコンがあるため、舞台の上から録音開始/停止させることができます。バンド以外にスタッフがいなければ、このリモコンが必須ということになります。
なお、ライブの録音では、録音レベルの調整が非常に困難です。それは最大音量と最小音量を事前に確認して、調整するのが難しいからです。音が大きすぎると、録音レベルを超えてしまい、音が割れてしまいます。下手をすると、レコーダが誤作動する場合もあります。これがライブ録音にはミキサーとそれを操作するエンジニアが必要と考えられている大きな理由です。
しかしR-09HRやH2には、リミッターという機能があります。これは、音量が録音レベルを超えたら、無理矢理レベル内に収まるように調整する機能です。リミッターを使うと、音質がスタジオ録音や宅録でコンプレッサをかけたような状態になるので、嫌う人もいますが、必ず使うようにしてください。音質を若干犠牲にすることになっても、音が割れてしまうよりはましです。
リミッター以外にも、PCMレコーダにはオートゲインやローパスフィルタを搭載するものがあります。オートゲインは音量が小さい場合に、あるレベルまで増幅させる機能ですが、バンドのライブでは聞こえないほど小さな音量はあり得ないでしょうから、特別な理由がなければ使う必要はありません。
ローパスフィルタは、低音をカットする機能ですが、例えばエアコンの作動音やマイクに吹き付けてくる風の音などを除去することができます。ただし低音を丸ごとカットしてしまうわけですから、音質にも影響します。ロックバンドの演奏などではさほど気にならないと思いますが、クラシックの演奏などでは、リハーサルの際にその効果を事前確認しておいた方がよいでしょう。H2では、ローパスフィルタはオン/オフの設定しかありませんが、R-09HRではオン/オフに加えて、オンの時には対象周波数を100Hz、200Hz、400Hzの3種類から選ぶことができます。
音質の点から言うと、圧倒的にすばらしいKORG MR-1もお勧めですが、最高品質で録音すると、ファイルが巨大になり、複製に凄まじい時間がかかります。ライブ会場での音源の複製はあきらめざるを得ません。なお、音質がすばらしいというなら、同じ1ビットレコーダであるSONY PCMシリーズもありますが、添付されてくるパソコン用専用ソフトウェア「SonicStage Mastering Studio Recorder Edition」の使い勝手と処理速度の点で、MR-1に添付されてくる「AudioGate」と見劣りします。レコーディングを仕事とするなら、PCMシリーズも魅力ですが、インディが使うには敷居が高すぎるということです。もしライブ音源を家に持ち帰って、パソコンで編集して、後日配布したり販売するのなら、MR-1もいい選択肢でしょう。
これ以外にもYAMAHAやTASCAMなど、色々なメーカから同様の製品が出ているのですが、試した結果、御土産音源にはR-09HRを一押しにしました。次点は価格も安くオプションとアクセサリが豊富なH2です。
PCMレコーダの設置位置や方法は、会場によっても変わりますが、基本は、会場の中央で後ろの方にマイクスタンドを立て、ちょうど人が立った頭の位置辺り、高さで言えば、1.5mから1.7m位がいいでしょう。人がぶつからない場所を選ぶのも大事ですが、ぶつかっても倒れたりしないように、スタンドはガムテープなどでフロアにしっかりと固定することが大事です。
R-09HRの場合、リモコンで録音開始/停止できますが、大きなホールではリモコンが使えるかどうか事前に入念にテストしておいてください。
またほとんどのPCMレコーダは、電池で駆動できますが、途中で電池切れになっては元も子もありませんから、電源は必ずAC電源から供給してください。このケーブルの取り回しも、人の邪魔にならないようによく検討してください。