iTunes Storeには、iMixという機能があります。iTunes Storeが日本で開始した頃は、分かりやすい場所に表示されていましたし、iTunesのあらゆる機能が目新しかったので多くの人が注目しましたが、最近では話題になることは少ないようです。

今回は、このiMixを楽曲のプロモーションに使う方法について考えてみたいと思います。

現在のiTunesでは、iMixはiTunes Storeの一番下の方に表示されています。クリックしてみると、iTunesを使っているメンバーが、それぞれに自分の好みの曲を集めた、iMixと呼ばれる一種のコンピレーションアルバムのようなものがズラッと表示されます。

自分が好きな曲トップ20を集めたり、特定のジャンルで括ったり、お気に入りアーティストのマニアックな曲だけを集めたり、内容はまちまちです。

新しい曲との出会いを求めているミュージックファンは、このiMixページを訪れ、アーティストやジャンルなどで検索するわけです。

iMixは、個人個人が、自分の好みや基準で選曲したiMIxを公開しているので、検索したキーワードと直接関係ない曲が含まれていることがあります。

例えば、ロシア民謡で検索すると、2010年6月14日現在、iMixが1つだけヒットします。その中には、「朝鮮民謡」だとか「宇宙の音楽」だとか、必ずしも「ロシア民謡」とは関係ない曲が含まれています。これは、このメンバーが、吹奏楽部のコンクールのくくりでiMixを作っているからです。

あるいは「ロック 民謡」などと検索すると、ロック好きでも聴けそうな民謡を集めたiMixや、ロックバンドが演奏した民謡を集めたiMixなどがヒットします。

このように、iMixは、ちょっとした興味から検索して、思わぬ曲と出会えるツールなのです。ということは、有名楽曲やアーティストと自分の曲を一緒に入れたiMixを作って公開しておくと、例えば「プレスリー」で検索した結果に、自分のiMIxが表示され、プレスリーファンが、自分の曲と「出会う」可能性がありそうじゃないですか?

ただ、前述の通り、iMixは、日本であまり話題になりません。iMixで新しい曲と出会いました、という報告もあまり聞いたことがありません。

では、iMixをプロモーションに使うのは意味がないのか? いえ、そんなことはありません。

なぜなら、iMixの情報は、アーティストページやアルバムページにもトップレートiMixとして表示されるからです。

例えば、Red Hot Chili Peppersのページを見ると、Red Hot Chili Peppersの曲が入っていて、レーティングが高いiMixが表示されます。このiMixは、Red Hot Chili Peppersの特定の曲と何らかの基準で括りが一緒と判断された楽曲で構成されています。これらの曲は、Red Hot Chili Peppersと似た曲、あるいはRed Hot Chili Peppersと一緒に聴いても違和感がない曲、など様々な理由があると思いますが、少なくともRed Hot Chili Peppersを聴いているミュージックファンが聴いている別の曲であることは確実です。

ということは、ここに表示されたiMixの中身には、Red Hot Chili Peppersのページを開いたファンが気に入りそうな、新たな音楽との出会いが期待できます。

このiMixに自分の曲を入れておくことで、プロモーションとして機能するチャンスがあるわけです。

でも、実際のところ、iMixを使って、期待通りの効果があるのでしょうか? 
Cameron Mizellというギタリスト/プロデューサによれば、自分の曲が入ったiMixをいくつか公開したところ、売り上げは倍になったそうです。その時、iMixに入っている曲は、よく売れる傾向にあったと言うことです。またLast.fmでの再生回数も増え、独自のiMiに曲を入れてくれる別のiTunesメンバーも現れたそうです。iMixの効果があることは確実でしょう。

ただし、以下のような点には注意した方が良いでしょう:

1)1つのiMIxに入れる自分の曲は1曲だけにしましょう。iMixを自分の曲の宣伝に使っていると思われたら、レーティングを下げられてしまうか、レーティングしてもらえない可能性が高くなります。前出の通り、アーティストページやアルバムページなどに表示されるのは、「トップレートiMix」です。つまり、より高いレーティングのiMixほど表示のチャンスがあります。嫌われてレーティングを下げられては元も子もありません。

2)上の1)と同様の理由で、有名アーティストや有名アルバムの曲に自分の曲を無理矢理合わせてiMIxを作ってはいけません。宣伝であることが見え見えですからね。あくまで、自分なりの基準で、自分なりの括りで、この曲が入っていて当然と思えるような構成にしておかなければなりません。でも、難しいことではありません。自分がミュージックファンとして、自分の曲と一緒に聴きたい、あるいはいつも聴いている、そんな曲を集めていけばいいわけですから。

3)どういう基準あるいは括りのiMixなのか、明快に説明してください。ドライブにぴったりなのか、ヨガにぴったりなのか、寝る前にぴったりなのか、マニアックなのか、ジャンルの初心者向けなのか、iMixのタイトルでも説明文でもはっきりとさせてください。トップレートiMixには基本的にタイトルしか表示されませんから、タイトルだけでクリックしてもらえるくらい、キャッチーで分かりやすく、興味を引くものしなければいけません。

4)前述の通り、レーティングが大事です。詳細を調べたわけではありませんが、少なくとも数人のレーティングがないとトップレートiMixに表示されないようです。とにかく家族や友人などに頼んで、iMixを見てもらい、レーティングしてもらいましょう。

5)できれば、有名アーティストやヒットソングのiMixでなく、マニアックなファン層を持つアーティストや曲で構成されたiMixを作りましょう。有名アーティストやヒットソングは、多くのiMIxに入っています。トップレートiMixに表示されるライバルも多くなります。マニアックな曲は、iMixも少ないでしょうから、表示される確率が高まります。さらにいえば、マニアックなアーティストや曲の場合、なかなか似たようなテーストの曲が存在しません。そのため、ファンが気に入りそうな曲との出会いに飢えているはずです。そこに更なるプロモーションの効果が期待できるわけです。

iMixの効果で実際に曲が売れるかどうかは、実際にやってみなければ分かりません。でも、無料のサービスであり、また非常に簡単に作れますから、とりあえずいくつか作って公開し、様子を見ても損はありません。インディは、何でも自由に試すことができるわけですから、とにかくやってみて、駄目なら止めるか、さらに工夫して効果が出るまで繰り返してみればいいだけです。

以上