indierevolution.jpに来る問い合わせやコメントの中には、インディプロファイリングというページが「何を言いたいのかよく分からない」、あるいは「言いたいことは分かるが、どんなメリットがあるのか分からない」というものがあります。

インディプロファイリングは、音楽(商品)を効果的に市場(ファン)に届けるための技術ですので、それ自体が何か直接的な売り上げを上げたり、ファンを増やしたりすることはありません。そこが分かりにくいのでしょう。

日本において、音楽を売る、と言うと、従来ならCDの販売、最近ならダウンロード販売、を意味することが多いと思います。でも、ミュージシャンの仕事は、本当に録音された音源を売ることでしょうか?

indierevolution.jpでは、ミュージシャンの仕事は、ファンに感動を与えることだと考えています。ファンは、感動を与えてくれる音楽を買うのです。ファンは「あの感動」を何度も味わいたいのです。だから、音源を買って、何度も繰り返し聴いてくれるし、何度もライブに来てくれるのです。

ライブの後で、来場者が「いいライブだったね」と言うだけでは、駄目なのです。「あの何番目の曲はすごい良かった。どのCDに入っているんだろう?」とか「iTunesで買えるのかな?」とか、「次のライブはいつ?」とならなくては、ミュージシャンの仕事が貫徹されたとは言いがたいでしょう。

時代を超え、万人にアピールする不朽の名作と言うものも存在しますが、多くの場合、特定のジャンルやスタイルの曲は、特定の嗜好を持つファンにしかアピールしません。まして感動を与えるとなると、対象はさらに狭まるでしょう。

この狭い対象を的確に絞り込む作業が、インディプロファイリングです。

嗜好が合わない音楽ファンに、どれだけ良い曲を、どれだけ良い演奏を、聴いてもらっても、感動を与えることはできません。せいぜいが「なかなか、ノリの良い演奏だったよ」と評論家のような反応しか返ってこないでしょう。

インディプロファイリングは、曲を初めて聴いてくれた見ず知らずの人間が感動する、そんな状況を生み出す近道なのだ、と書けば、少しは分かりやすくなるでしょうか。

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プロファイリングという言葉を聞いたことがあるでしょう。FBI捜査官が犯罪の痕跡から、犯人像を推定する、あれです。「羊たちの沈黙」という映画でもプロファイリングの手法が描かれていますし、犯罪心理分析官の活躍を描いた「クリミナル・マインド FBI行動分析課」や「プロファイラー/犯罪心理分析官」といったドラマも米国では人気です。

プロファイリングは、証拠や周囲の状況から単に犯人がこんなやつだろう、と想像することではありません。それは、FBIに行動科学課が創設された1972年以前から行われていたことですし、素人だってニュース番組を見ながらやるでしょう。いわゆる探偵ごっこですね。

あまり細かく説明すると、どんどんこの項の趣旨から外れるので、大まかなところで止めておきますが、FBIの優れたプロファイラの特徴は、一言で言えば、犯人の立場になって、その心理や行動を追体験および予見できることにあります。それは、完全なものではありませんが、捜査の方向性を示し、限られた資源を有効に活用する目安になっています。

つまりプロファイリングの肝は、ある人物(犯罪の場合は犯人)になりきって、その人物の内面を理解することにあると言えます。さらに、特定の情報や行為、状況や環境に対して、犯人がどう反応するかまで分析できれば、その行動も誘導できるでしょう。

しかし、ここで言うプロファイリングは、もちろん犯罪とは関係ありません。ここで説明するのは、インディプロファイリングという、indierevolution.jpで勝手に考えだしたものです。

インディプロファイリングでは、インディバンドやミュージシャンが効率よくファンを見つけ出し、生み出し、増幅させることを目指しています。

まず、ミュージシャンは自らをプロファイリングしなければなりません。自分をプロファイリングするというのは、単純なことではありませんが、比較的簡単にそれを実現する方法が、以下に一覧したような質問に回答していくことです。こうした問いに答えることで、自身がどのようなミュージシャンなのか、イメージが固まっていくでしょう。

自分の実年齢と精神年齢は同じか?
自分でイメージするミュージシャンとしての自分の年齢はいくつか?
自分は、どんなミュージシャンなのか?
技巧派なのか?
ビジュアル重視なのか?
演奏より作詞作曲のが得意か?
楽器の練習は嫌いか?
好きな音楽はどんなものか?
なぜその音楽が好きなのか?
やっている音楽はどんなものか?
それは好きな音楽なのか?
やっている音楽は、好きな音楽とどう違うのか?
あるいは好きな音楽そのものなのか?
好きな音楽でなければ、なぜ違う音楽をやっているのか?
自分は他のバンドとどう違うのか?
何が自分の音楽の魅力なのか?
何が自分のミュージシャンとしての魅力なのか?
自分は人格者か?
自分は魅力的な人物か?
嫌いな音楽は何か?
なぜ嫌いなのか?
嫌いなミュージシャンは誰か?
なぜ嫌いなのか?
自分の音楽のジャンルは?
影響を受けたミュージシャンは?
音楽を聴き始めたのはいつか?
それはどんな音楽か?
そのきっかけは?
今やっているような音楽を聴き始めたのはいつか?
そのきっかけは?
音楽を演奏し始めたのはいつか?
それはどんな音楽か?
そのきっかけは?
今やっているような音楽を演奏し始めたのはいつか?
そのきっかけは?
音楽を作り始めたのいつか?
それはどんな音楽か?
そのきっかけは?
今やっているような音楽を作り始めたのはいつか?
そのきっかけは?
オリジナル楽曲の質にこだわっているか?
作詞より作曲のが重要か?
作曲より作詞のが重要か?
自分のオリジナル楽曲のレベルは高いか?
オリジナル楽曲のレベルが低くても、オリジナルを演奏する方が重要か?
オリジナル楽曲のレベルが低いなら、他人の曲を演奏した方がましか?
楽器の練習は好きか?
ライブ演奏するのが好きか?
録音する際は、ライブで再現できなくても録音に凝りたいか?
ライブより録音している方が楽しいか?
録音はできるだけライブ間を残したいか?
録音はライブでの再現を意識して行うか?
音楽活動のゴールはどのようなものか?
ヒット曲を出したいか?
有名になりたいか?
食べていければ、ヒットしなくても良いか?
食べていけなくても、好きな音楽をやり続けたいjか?
食べていくためには、少しは受けを狙うべきか?
売れるために積極的にプロモーションしたいか?
特にプロモーションせずに、誰かが見出してくれるのを待つか?
世界中をライブツアーしたいか?
国内をライブツアーしたいか?
海外でも売れたいか?
海外市場には興味が無いか?
海外でも売れるには、海外向けの活動が必要か?
大きな会場でライブをやりたいか?
小さな会場のライブのが好みか?
音楽が世界に影響を与えると思うか?
自分の音楽が世界に影響を与えると思うか?
音楽に国境は無いと思うか?
世界にアピールするには英語で歌うべきか?
邦楽の要素を取り入れたいか?
邦楽の要素を取り入れているか?
10年後にも同じ音楽をやっているか?
やっていないとすると別の音楽か?
やっていないとすると、もう音楽活動していないか?
20年後のにも同じ音楽をやっているか?
やっていないとすると別の音楽か?
やっていないとすると、もう音楽活動していないか?
30年後にも同じ音楽をやっているか?
やっていないとすると別の音楽か?
やっていないとすると、もう音楽活動していないか?
新しいプロモーションのやり方にトライしたいか?
新しい音楽にトライしたいか?
新しい販売方法にトライしたいか?
楽曲は無料でどんどん配布した方がプロモーションになるか?
楽曲の無料配布は、音楽のイメージを低くするか?
CDは廃れるから、発売しなくてもよいか?
CDのような物理媒体は必要で、今後も発売し続けるか?
デジタル販売が好きか?
なぜ好きか?
デジタル販売は嫌いか?
なぜ嫌いか?
デジタル販売は音質が低いか?
CDは音質が高いか?
著作権は、使用料徴収代行団体に信託した方がよいか?
著作権は、自分でコントロールしたいか?
ラジオでかかりたいか?
ラジオに出たいか?
テレビでかかりたいか?
テレビに出たいか?
ラジオ、テレビ、カラオケ、などの著作権使用料も欲しいか?
ラジオ、テレビは、プロモーションなので、使用料が無くても構いはしないか?
音楽での収入以外に、関連商品も発売して収入を増やしたいか?
ファンとの密接な関係を大事にしたいか?
ファンとは音楽の作り手と聞き手という関係以上は期待しないか?
ファンの意見を聞きたいか?
ファンの意見は関係ないか?
ファンと音楽以外の関係を持ちたいか?
ファンの要望に応えたいか?
ファンを増やしたいか?
ファンの数は多ければ多いほどよいか?
適当なファンの数は何人くらいか?
世界のファンと交流したいか?
世界のファンの意見が聞きたいか?
海外にファンは要らないか?
海外にのファンにこそアピールしたいか?

こうした問いに答えていくことで、自らがどんなミュージシャンであり、どんな音楽をやっていて、なぜそんな音楽をやっていて、他のミュージシャンとどう異なり、どう優れているか、ということを明らかにしていきます。問いは多ければ多いほどよいのです。ありとあらゆる問いを書き出して、それに答えを書き足していってみましょう。

自分のことが分かったら、それを簡単な言葉で表します。簡単なら簡単なだけよいのですが、あまり一般的な言葉で表すと、特徴がなくなってしまうので、簡単でありながら、的確に明確にミュージシャンとしての自分と自分の音楽を表すものにします。一種のスローガンのようなものでもいいし、宣伝文句のようなものでも構いません。

「情熱だけは誰にも負けない熱いロックバンド」なんて、これまで何万回も聞いているはずですから、絶対やっては駄目です。「火の国熊本から来た熱いロックバンド」なら、少しましですけど、どこかで聞いた気がしませんか? 「沸騰する溶岩に裸で飛び込んでも死なないロックバンド」だと、何を言いたいのかもう分かりませんから、やり過ぎです。ある種の研究によれば、人間は、新しい情報を、自分の知識の中で比較できるものと関連させながら理解するそうです。あまりに関連性のない情報は、理解不能として除外されてしまうでしょう。もちろん、その面白さを狙うというやり方もありますが、それはこの項とは無関係な話なので、飛ばします。

では「沸騰した脳みそが鼻から吹き出そうな熱いブルースロック」ならどうですか? このスローガンが良いか悪いかは別にして、自分と自分の音楽を的確に明確に表す言葉を生み出すのです。それが自分をプロファイリングする目的です。

ちなみに、こうして生み出されたスローガンは、ホームページで、オンラインストアで、CDジャケット上で、どこでも一貫して同じものを使ってください。なお、なぜスローガンが大事なのか、という点については、
CDジャケットのページで少し触れています。

次に、ファンをプロファイリングします。今度は、ちょっと想像力を働かせて、自分がライブをやっているところを想像してください。お客さんは1,000人くらいはいて盛り上がっています。さて、ここで、そのお客さんの中から自分のファンとして最も理想的なお客さんを捜し出して、思い浮かべます。自分のライブに憧れのアイドルが来たら良いなぁ、ということではありませんよ。自分を理解し、自分の音楽を理解し、賛美してくれて、CDを買ってくれて、Tシャツを買ってくれて、ライブを楽しんでくれて、CDを何度も聴いてくれて、応援してくれる、そういうファンです。

その人は何歳くらいですか?
男ですか、女ですか?
どんな格好をしていますか?
どんなヘアスタイルですか?
どんな風にライブを楽しんでますか?
普段は、どんな仕事をしているでしょう?
どんなところに住んでいるでしょう?
どの辺りに住んでいるでしょう?
年収はいくらくらいでしょう?
好きな食べ物は何でしょう?
嫌いな食べ物は何でしょう?
好きなタレントは誰でしょう?
嫌いなタレントは誰でしょう?
好きな芸人は誰でしょう?
嫌いな芸人は誰でしょう?
好きな本は何でしょう?
どんな音楽を聴いているでしょう。
家族はどんな構成でしょう?
将来の夢は何でしょう?
夢の実現のためにどんな努力をしているでしょう?
好きなミュージシャンは誰でしょう?
嫌いなミュージシャンは誰でしょう?
どんなテレビ番組を見ているでしょう?
どんな雑誌を読んでいるでしょう?
どんな場所で食事しているでしょう?
どんなところを旅行しているでしょう?
好きな映画は何でしょう?
好きな役者は誰でしょう?
好きなファッションブランドは何でしょう?
煙草は吸いますか?
健康に気を配りますか?
社会問題に興味があるでしょうか?
政治に興味があるでしょうか?
選挙に行くでしょうか?
国際情勢に興味があるでしょうか?
乗っている車なんでしょうか?
趣味は何でしょうか?
スポーツするでしょうか?
ジムに通っているでしょうか?
音楽を演奏しているでしょうか?
音楽を作っているでしょうか?
楽器は演奏するでしょうか?
するとすると何でしょうか?
パソコンを使っているでしょうか?
使っているとすると、
Windowsでしょうか、Macでしょうか?
インターネットを使っているでしょうか?
使っているとすると、どれくらい活用しているでしょうか?
使っているとすると、携帯電話でしょうか、パソコンでしょうか?
iPodを使っているでしょうか?
他の携帯ミュージックプレイヤーを使っているでしょうか?

こうして、自分に取って理想的なファン像を作り上げます。「30台のOLで、一流大学を出て、そこそこ収入があって、都心ではないがいいマンションに住んでいるけど、恋人はいない。ファッションには興味が薄く、親父の出没しそうな飲食店で一人で食事をするのが趣味。キャリアアップのために英語学校に行っていて、ゆくゆくは米国の大学に留学して資格を取り、40歳までに外資系企業の東京支店で働きたい、という夢がある。」と言った具合です。

理想的なファンが想定されました。このプロファイルに合う人物は、あなたの音楽を好きになり、あなたのファンになってくれる可能性が高い人です。そんな人をピンポイントに捜し出して、音楽を聴いてもらえば、非常に効率よくファンの数を増やせるわけです。

では、そんな人物と接点を持つために、出没する場所を探してみます。実際にいろんな場所へ行くのは難しいので、とりあえずは、インターネット上の場所で探してみましょう。ゆくゆくは、そんな人が読んでいる雑誌とか見ているテレビ/ラジオ番組とか、そういうものも探してみてもよいでしょう。出版社やメディアに対しては、プレスリリースを出してみましょう。

30台のOLが興味を持ちそうなオンラインストアや掲示板、SNSなどを見て回ります。都心から30分くらいのベッドタウンのタウン情報の掲示板を見て回ります。ラーメン屋や居酒屋、焼き鳥屋などの情報が書き込まれている掲示板を見て回ります。英語学校の生徒が集まる掲示板を見て回ります。とにかく可能性がありそうなところを回ってみて、音楽関係の情報を書いても邪魔にならないところに、自分たちの宣伝をさりげなく書いてみます。「ジミヘンが好きなんですね。僕も大好きです。かくいう僕は、沸騰した脳みそが鼻から吹き出そうな熱いブルースロックをやっているんですよ。よかったらホームページに聴きに来てください」というわけです。経験を積むことで、どんな風に誘えば、最も効果的なのかは、自ずと分かってくるでしょう。

その後に、ホームページ上で、どうやって音源を聴いてもらい、どうやってライブに来てもらい、どうやってCDを買ってもらい、という話は、プロファイリングとは関係ないので、別の項に任せますが、とりあえず、自分をプロファイリングして、ファンをプロファイリングすることで、効率よくファンとの接点を見出すことができるはずです。

もちろん、試してみてもうまくいかないってことがあるでしょう。その時は、もう一度プロファイリングし直してください。そして同時にファンを探す場所をインターネットから、雑誌、ラジオ、テレビ、ライブ、飲み屋、合コン、路上、などと増やして実験してください。プロファイリング自体は、自らの音楽活動を見つめ直す意味でも有効なので、やって損になることはありませんから、とにかくだまされたと思ってトライすることをお勧めしておきます。

-以上-