headliner.fmについて

どういうわけか、急に「headliner.fmって使えますか?」という問い合わせが増えてきた。

基本的にindierevolution.jpでは、日本から利用ができない、あるいは日本からの利用で効果がほとんど見込めないサービスについては、取り上げないことにしているが、headliner.fmについて、国内で興味が高まっているようなので、今回は例外的に少しだけ触れることにしよう。

インディミュージシャンなら、ネット上のソーシャルネットワークを使ったプロモーションについて、日々試行錯誤していることだろう。

ソーシャルネットワークを使って何かしらプロモーションを行えば、ファンベースの拡大や売り上げの増大に繋がることは確かだが、その効果をはっきりと実感することは、なかなかできないはずだ。

MySpaceでフレンドが3,000人いますとか、Twitterでフォロワーが10,000人いますとか、Facebookページで「いいね」が1,000を超えましたとか、ソーシャルネットワークの「つながり」を表す数字をせっせと稼いでも、その数字が売り上げにどのように反映するのか、その数字に本当に「価値」があるのか、それが分かりにくいのが実情だ。

headliner.fmは、このソーシャルネットワークのつながりの数に、具体的な「価値」を与えたはじめてのサービスと言ってよいだろう。

headliner.fmがどのように動作するか、その手順を単純化して説明しよう:

  1. 自分のイベント、楽曲、アルバムなどを宣伝するための短い宣伝文句を書く。
  2. 他のメンバーに対して、上記の宣伝文句をそれぞれのソーシャルネットワークへ転送してくれるようにリクエストを出す(自動)。
  3. リクエストを受け取ったメンバーは、宣伝文句の内容を読み、問題がなければ、自分のソーシャルネットワークにそのまま転送する(半自動)。

あなたが自分のソーシャルネットワークを使って宣伝を配信しても、結局、すでにつながりがあるファンにしか届かないが、上記のように他のアーティストのソーシャルネットワークを使って拡散すれば、今まで接点のなかった、新しい音楽ファンにメッセージが届くということなのだ。

Twitterで1,000人のフォロワーがいる10人のアーティストが転送してくれれば、単純に考えて、本来届かなかったはずの10,000人の音楽ファンにメッセージが届くというわけ。

しかも、特定のアーティストとソーシャルネットワークでつながっているのは、ほとんどがそのファンである。そんなファンは、自分が好きなアーティストが「これ聴いているよ」や「これ気に入った」と書いたアーティストや曲について興味を持ち、チェックする可能性が高い。

リクエストを受け取ったアーティストが宣伝文句を許可して転送すると、Karma Cashというポイントがもらえる。このポイントがたくさんあると、自分がリクエストを出す時に、より多くの他のメンバーへリクエストを出すことができる(ポイントを買うことも可能)。

余談だが、登録時にFacebookページ、MySapce、Twitterのつながりの数に応じてポイントがもらえるので、登録後、即座にリクエストを出すこと(キャンペーン)も可能だ。

ちなみに宣伝文句は、他のアーティストが自分のアカウントからそのまま投稿できるように、最初から「今、このバンドの新曲聴いてます。癒されます」のようなそのアーティスト視点で、かつ宣伝色を排除しなければならない。「俺たちの新曲聴いてくれ。もう最高!」などと書けば、間違いなく、誰も転送してくれないだろう。

ここまで読むと、それってステルスマーケティングじゃないの?、と思うかも知れない。

確かに、あなたが自ら書いた宣伝文句を、他のメンバーに、あたかもそのメンバーが書いたかのようにソーシャルネットワークに投稿してくださいとお願いするわけだから、ステルスマーケティングと誤解されるかも知れない。

しかし、headliner.fmは、ある一点において、ステルスマーケティングとは一線を画している。それは、宣伝文句の転送を行うのも、アーティストであると言うことだ。

つまり、リクエストを受け取ったアーティストは、ポイント欲しさに無条件に宣伝を転送するのではない。なぜなら、その宣伝文句は、そのアーティスト自身のアイデンティティに関わってくるからだ。

例えば、フォークシンガーがラッパーのリクエストに応えて「indierevの最新ラップ、魂のライム、心にくさび打ち込む」などという宣伝文句を自分のTwitterに投稿するだろうか?

また、仮にジャンルが同じであってさえ、今ひとつのバンドについて「このバンド、最近で一番良い」などと嘘を投稿するだろうか?

そんなことをすれば、アーティスト自身の感性が疑われるだけだ。

つまり、リクエストを受けたアーティストは、そのバンドの情報を確認し、ホームページを確認し、楽曲を試聴し、確かに良いじゃないか、と確信を持ち、その宣伝を転送しても恥ずかしくないと判断して、はじめて転送を許可するのだ。

これは、ステルスマーケティングとは、まったく異なる。

つまり、アーティスト同士が互いの宣伝を助け合うという、一時MySpaceなどの音楽系ソーシャルネットワークに期待されたようなシステムを、限りなく簡便で効率のよい方法で実現したら、結果として、ちょっとステルスマーケティングっぽくなったということだろう。

で、どれくらいの効果があるのか、ということなのだが、ジャンルや宣伝文句の内容、キャンペーンの規模にもよるので一概には言えないが、indierevolution.jpが約2年間試した感じでは、一般的な一回のキャンペーンで、少なくとも3,000人から10,000人くらいにはリーチするという感触だ。

こんなに素晴しいサービスだから、どんどんお薦めしたいところだが、いかんせん、ほとんどのメンバーが米国人のため、そのソーシャルネットワークのつながり先も、米国人ということになってしまい、日本から効果的に利用できる可能性がほとんどない。

唯一、効果が期待できるのは、海外のiTunesや他のオンラインストアでダウンロード販売をしており、海外の音楽ファンに訴求する音楽を作っているアーティストが、海外の新たなファンの開拓を目指す場合だけだろう。

海外で比較的受けやすい、ヒーリング、ビジュアル系、アニソン系、エレクトロ、などのジャンルなら、試してみても良いのかも知れない。

ただし、まちがっても宣伝文句を日本語で書かないように。