CD Babyとlast.fmが提携

日本からも簡単で安価に日本も含め世界中のiTunes Storeでアルバム販売できる世界のインディの総本山、CD Babyが英国のミュージックSNSであるlast.fmと提携し、楽曲データの転送を開始した。なお転送されるのは、デジタル販売サービスの設定(How much Digital Distribution)で「Everything that pays.」以上を選んでいるアーティストで、「Only traditional.」以下では自動では転送されない。

indierevolution.jpでは、日本のインディにCD Baby、last.fm、MySpaceの利用を奨励しているが、これでCD Babyに登録するだけでlast.fmにも登録されるので手間が省けてより便利になる。

Saul Williamsも支払いの判断はファン次第

Radioheadに続き、Saul WilliamsもNine Inch NailsのTrent ReznorプロデュースでAlan Moulderがミックスした新譜、The Inevitable Rise And Liberation Of Niggy Tardustを無料か$5か購入者が選べるやり方で販売開始した。$5で購入すると、192Kbps MP3320Kbps MP3FLAC lossless audioの音源にPDFファイルが付いてくるが、無料でダウンロードすると192Kbps MP3の音源とPDFファイルだけがダウンロードできる。つまりCD音質が欲しければ、$5払ってくれ、ということだろう。購入すると、登録したメールアドレスにダウンロード用リンクが送られてくるので、そこからダウンロードする仕組みだ。ちなみにDRMはなく、MP3エンコーディングは音質で定評のあるLAMEとなっている。

日本でも
CD音質あるいはそれ以上の音質でデジタル音源だけ販売し、CDは発売しない動きが始まっているが、手軽にダウンロードでCD音質の音源が入手できれば(価格の問題は残るが)、CDの存在意義が半減することは確実で、今後はCDの売り上げがさらに落ちることは明白だ。こうなると音質面とアートワークの面で圧倒的に有利なアナログLP版を復活させるか、音質面ではデジタル音源が今後しばらくは追いつけないSA-CDに大々的にシフトするしかない。アナログ版の復活はあり得なさそうだから、CDを売り続けたければ、SA-CDにシフトするしかなく、その普及にはプレイヤを数千円から販売するしかないだろう。

indierevolution.jpは、特にSaul Williamsのファンではないので、とりあえず無料でMP3音源をダウンロードしてみた。聴いてみて、気に入ったら$5払って、ロスレス版を入手する予定だ。これはまさにパソコンにおけるシェアウェアの販売の仕方と同じだ。聴いてみて、気に入ったら買うという、こんなに気持ちよく清々しい購買行動は、音楽業界では長らく味わえなかった快感のように思う。聴いて好みかどうか確認するために、友達に音源をコピーしてもらうことさえも著作権違反かどうかなどと馬鹿げた議論を繰り返すような業界側には、この音楽ファンの心理は100年経っても分かるまい。

Radioheadに比べ、よりあからさまにレコード会社への反発を表明してきたNine Inch Nailsだから、単なる新しい音源販売の道を試すというよりも、今後はレコード会社不要論者の立場から積極的なインディ活動を展開することも予想される。Radiohead以上に過激なショックを業界に与え、日進月歩の音楽業界の改革/進化をさらに加速化するかも知れない。

ただし日本においては、JASRAC信託していると、たとえ著作者であっても、たとえ試聴の目的だとしても、音源をダウンロードさせれば、JASRACにお金を払わなければならない。海外の波が日本に押し寄せてくれば、逆転現象でJASRAC離れが起きる可能性もある。著作権管理団体の存在を否定する気はないが、包括契約や補償金とほとんど無関係なインディは信託するべきかどうか、これまでになく慎重に考える必要がある。

Radioheadの新作、日本でも自由価格でダウンロード販売

先日、indierevolution.jpでも購入して報告させていただいたRadioheadの新作アルバム、IN RAINBOWSだが、日本でも購入者が値段を決めてダウンロードできる英国と同じ手法で販売されることになった。現時点では、サイトはまだ準備中のようだが、発売になればiMode端末のドコモ ケータイ払いを使えるそうだ。この手法が日本で定着するかは未知数だが、パソコンソフト用シェアウェアの支払いについては、日本は他国に比べて倍以上の支払い率だそうだから、日本でこそビジネスとして成功する可能性はあるかも知れない。

シェアウェアはオナーシステムという、理想論というか、一種の性善説を基礎にしたコンセプトが基本にあるが、音楽業界も、ファンを泥棒扱いするのはもうやめて、オナーシステムを導入してみたらどうだろう。

ニフティがデジタル販売から撤退

ニフティが2005年10月に後発で開始したデジタル販売サービス、MOOCSを段階的にサービス停止し、来年の春には完全閉鎖すると発表した。PCと携帯の両対応というコンセプトで発表された時は、注目されたが、開始時の取り扱い楽曲が15万曲からと圧倒的に少なかった上に、PCから携帯へ曲を移動するにはSD-Audioとして著作権保護機能付きのSDメモリーカードを使うなど、制約が多く、稼働後は話題にもならなかった。今後の詳細は決まっていないが、来春には別の総合的なミュージックポータルとして出直すということだ。

MOOCSは、決して大手とは言えないが、鳴り物入りで始まったサービスが早々に終焉を迎えるということで、日本でもデジタル販売サービスの淘汰の始まりが予感される。

前後するが、エキサイトも2004年に開始した
エキサイトミュージックでの楽曲販売を終了しており、本来のポータルに戻っている。もっともエキサイトは、曲がりなりにもエキサイトミュージックモールという新たな試みも始めており、積極性は失ってはいないようだが。

海外の例を見ても、特定のレーベル、レコード会社、ミュージックプレイヤ、著作権権利技術など、ある種の利権と制約が先走り、流行っているからと始まったデジタル販売サービスはいずれは終わらざるを得ない運命であることは明白だが、その波は思ったより早く日本へ到達し始めたようだ。

これはためになる、佐野元春氏のブロガーミーティング

本来、indierevolution.jpでは、他のブログや特定のアーティストのウェブページへ参照のためだけのリンクを貼ることはしないのだが、先日行われた「佐野元春 ブロガーミーティング」の報告だけは、無視することができなかった。他のブログでも紹介されていると思うが、ナタリーが詳細だったので、リンクさせていただく。ここで語られている内容は、アーティスト、クリエータ、ソングライター、プロデューサ、エンジニア、マーケッタを問わず、プロ、アマ、メジャー、インディを問わず、音楽を制作するすべての人に有意義なものだ。音楽とは誰のものなのか、また、誰のために音楽を作るのか、とう問いに対する、一つの、そして重要な回答でもあると言えよう。