NTTがMUSICOでDRMなし配信

NTTコミュニケーションズが同社のデジタル販売サイトMUSICOで、この10月30日からDRMなしの配信を開始する。iTunes Store並かそれ以上の音質で、J-POPへの強みを前面に出してiTunesに対抗する狙いだ。1曲の価格が邦楽の260円と洋楽の190円と格差があること、徐々に拡張するとはいえ当面はEMIミュージック・ジャパンの約10万曲だけ、というのが気になるが、大手の楽曲をDRMなしで配信するのは、日本初であり、高く評価できる。邦楽の値段が高いのが気になるが、高額/低音質の着歌の存在が洋楽と同等の値付けの障害となっているのだろう。しかし、高音質でDRMなしの音源が広まれば、自ずと着歌離れも進み、いずれは全体の値段と音質はPC向けデジタル販売サービスの標準へと収斂するに違いない。

indierevolution.jpでは、かねてより、本来の「より多くのファンに聴いてもらう」という目的を考えれば、DRMなしが自然な流れと説いているが、日本のインディではDRMに異常に執着する例が多いことを危惧してしていた。しかし、こうして大手からDRMなしに移行してくれれば、業界の末端までDRMなしが標準となる日も近いだろう。

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The Eaglesの新譜が発売間近

ここのところ、Radiohead、Prince、Paul McCartney、Madonnaと、メジャーレコード会社を離れる動きが加速化しているが、今月末にWal-Martだけ(The Eaglesの公式ページでも販売されるようだし、Wal-Martと流通提携している他のストアにも並ぶようだ)で発売になるThe Eaglesの新譜も詳細が決まって来たようだ。長らく曲数と価格は未定だったが、全20曲で、$11.88(ダウンロードは$10.88)になったらしい。ここまで来ると、すでに新しい時代は始まってしまったことを実感せざるを得ない。レコード会社は、長らく、アーティストの発掘と育成、プロモーション、そしてCDの流通が仕事と言い張っており、育成とプロモーションも請け負うことで、アーティストに対して強い立場を堅持し続けて来た。

しかし、よく考えてみると、アーティストの発掘や育成は、もう数十年行われていない気がする。確かにレコード会社は、プロモーションに莫大な予算を計上しているように見えるが、それは元が取れることが分かっているメジャーなアーティストに対してだけで、その他大勢については、プロモーションなど格好だけというのが実情だ。逆に、今やインディアーティストがインターネットで見出され、インターネット上にコミュニティが構築され、アルバムやライブのプロモーションもインターネットで行われる時代だ。するとレコード会社の仕事は、CDの流通しか残らなくなる。それさえも売り上げが毎年落ち込んでおり、アーティストの活動に対する影響力は低下の一途をたどっている。

こうなると、もうレコード会社との契約が本当に必要なのか、疑問を持つアーティストが続出するのは当然だ。特に、逆説的だが、レコード会社の恩恵にあずかりやすい、メジャーなアーティストこそ、レコード会社なしでも十分に活動できる環境が整いつつある。ちょっとお金を持っているWal-martやStarbucksなどが、アーティストの意思を尊重する独自のレーベル機能を提供し始めれば、アーティストに取ってはメジャーなレコード会社との契約を更新する必要は無くなる。

いくらレコード会社の影響力が低下したとは言え、アーティストがアルバムを録音し、プレスし、CDを流通させ、デジタル販売も行うには、そこそこお金もかかる。メジャーなアーティストがメジャーレコード会社を離れたと言っても、誰かがそうした仕事をしなければならない。そこで中小のレーベルや、異業種から参入して来る新世代のレーベルにビジネスチャンスが巡って来ることが予想できるのだ。

インディレーベルも積極的にインターネット時代のプロモーションスタイルに挑戦し、早い内にノウハウを身につけることが重要だ。

Radioheadの新譜について

indierevolution.jpにも、この10月10日の夕方に予約しておいたRadioheadの新譜In RainbowsのダウンロードURLがメールで届いた。新譜の評価は、indierevolution.jpの仕事ではないので、触れずにおこうと思ったが、今回の動きを非常に興味深く見ている方々も多いようで、問い合わせがちらほら来るので、その感想など書いておこう。とはいえ、やはり楽曲そのものを評価するつもりはないので、あくまで購買体験全般についての感想となる。

インディバンドの場合、自分たちのサイトで楽曲を売って、直接ダウンロードさせることは珍しくない。しかし今回、実際にダウンロードしてアルバム全体を聴いてみて、通常は味わえない、不可思議な感動があった。それは、このアルバムの値段を自分が決めたことに起因すると思われる。indierevolution.jpでは、4ポンドを指定したが、聴いた直後に「もう少し払っても良かった」ような気がした。しかし、そんな気がしただけで、根拠はない。何がそんな気にさせたのか、いずれは分析が必要だろうが、とにかくアルバムの値付けを自分で行うという新しい体験が、何かエモーショナルな部分に作用して、購入した楽曲に付加価値を与えるようだ。同じ商品なのに、値切って買った方が愛着が湧くのと同じかも知れない(逆に、値切って買った商品は、その後の扱いがぞんざいになることもあるが)。

新しい体験とは書いたが、買い手がアルバムや楽曲の値段を付けるというデジタル販売サービスはこれまでにもあったし、現在も存在する。しかし多くの場合、「とりあえず公開しましたので、気に入ったら、好きな値段で買ってください」という、パソコンソフトでいうところのシェアウェアやドーネーションウェアみたいなノリが多い。しかし今回のRadioheadの場合、メジャーレコード会社から出ても良いはずのアルバムを、好きな値段で買え、と言っているわけだから、似たようなサービスとは一線を画していると言えよう。さらにアンチメジャーというメッセージをこちらが勝手に投影しているということも確実にあって、その点でも、自分が何か新しいムーブメントの一部になったような錯覚を無意識に起こしている可能性も否定できない。

内容に少し触れておくと、音的にはかなりインディっぽい感じで、荒削りな雰囲気が全体に漂っている。とは言え、Radioheadは、これまでも曲によっては非常に荒っぽい録音も存在していたので、目新しいわけではない。むしろ、全体の空気が沈鬱な方向に向かっているところが、インディっぽいのだろう。それでいて暗いわけではなく、地下に充満したエネルギーが、地表の直下で渦巻き、今にも地上に爆発して出そうで、出ないと言う、文字通りアンダーグラウンドなパワーを感じる。メジャーレコード会社から出ていれば、一曲くらい少しは華やかで一般受けしそうな曲を入れて来そうだが、そんな思惑はあっさりと排除している。そんな音を聴くと、今回の試みにも必然性があるような気がする。同時に、そこで好みが分かれそうだ。

ダウンロード販売した売り上げについては、一切発表しないそうだが、非常に良く売れているらしい。来年初頭にCDとしてリリースされれば、それなりにチャートを上がるだろう。いずれにしろ、インディによるアルバム販売の新しい手法を大規模に試し、成功に導くことができることを証明してくれた功績は大きい。すべてのインディが同じやり方でアルバムを売れるわけではないが、インディがアルバムのデジタル販売を考える際の一つの指標となることは確かだろう。

Oasisの新譜はデジタルオンリー

英国の人気バンド、Oasisのニューシングル、Lord Don't Slow Me Downは、1021日からダウンロード発売されるが、CDでの発売はないそうだ。これだけメジャーなバンドがダウンロード販売のみで新譜を発売すると言うのは、CDに固執し続けているように見えたレコード会社(Oasisの場合は、Universal)がついに新たな道へ踏み出したことを意味する。同曲は、現在、99ペンス(230円前後くらいだろうか)で予約受付中だが、The Meaning Of Soul (Live at City of Manchester Stadium '05) Don’t Look Back In Anger (Live at City of Manchester Stadium '05)の2曲を加えた3曲セットも1ポンド50ペンス(350円前後だろう)で予約でき、予約と同時にThe Meaning Of Soul (Live at City of Manchester Stadium '05) がダウンロードできる。

売り上げが落ち込み続けるCDを発売するかというのは、インディにとってもそれなりに問題だが、その売り上げで莫大な利益を上げ続けて来たメジャーレコード会社に取っては、さらに大きな問題となっている。CDの流通には膨大な人的、経済的、時間的なリソースを必要とするからこそ、レコード会社も強い立場でアーティストと向き合ってこれたが、CDの販売から撤退すれば、楽曲に対するアーティストの主導権はより強まることになる。新譜のデジタルオンリーでの発売は、メジャーレコード会社にとって大きな賭けのはずだ。しかしパラダイムの転換と言うのは一夜にして訪れるわけで、一番電車に乗り遅れたがために、その業界全体が凋落し、あらたなメディアやビジネス、システムに取って代わられるというのは珍しいことではない。これから数年、様々な実験が活発に行われることになるだろう。こうした実験は、本来インディこそが得意とするはずなのに、日本にはメジャーの真似事ばかりするインディが多く見受けられるようで、ちょっと心配だ。そろそろ世界に向けて、新しい方法や表現を積極的に試して、暴れてみても良いのではないだろうか。新しいインディの潮流が日本から生まれて、世界へ発信されることに期待したい。

THE CHARLATANSが新譜を無料配信

今やアーティストがレコード会社の呪縛から自由になり、自らの新譜を無料で配る(あるいは、買い手の言い値で売ったり)する時代が来たようだ。90年代から活躍する英国のThe Charlatansが、新しいシングルを10月22日からxfm経由で無料ダウンロードさせると発表した。また新しいアルバムも来年初頭にxfm経由で無料ダウンロードさせる予定だ。xfmは、英国のラジオ局だが、アーティストへのインタビューなどを積極的にPodcastしているので、日本でもよく知られているだろう。

デビッドボウイが「近い将来、レコード会社はなくなる」と予言したのは、もう5年以上前になるだろうか。その後、インディがインターネットを使って世界的なヒットを出したり、ボブディランが「CDに収められた音楽は死んだ音楽。本当の音楽はライブでしか聴けない」と言って、ライブチケット付きのアルバムをiTunesでライブチケットの値段程度で売ったり(つまりアルバムは無料と言う考え)、プリンスが新譜CDを新聞のおまけに付けたり、レコード会社が堅持したい枠組みに収まらない動きが拡大している。そのいずれもライブでの集客につながれば、デジタル音源はプロモーションとして無料で配っても良い、という考え方が根底にあると言うことは見逃せない。そして、ここ数年、ライブこそがレコード会社のコントロールを離れ、アーティストあるいはレーベルが主導権をしっかりと握り始めたジャンルなのだ。実際のところ、レコード会社や音楽出版社が間に入った場合、アーティストにとって録音した音源の利益率は総じて小さい。大ヒット曲でもなければ、アーティストに支払われる売り上げは微々たるものだ。その点、ライブは、利益率はかなり高い上に、Tシャツだの、バッジだの、グッズの売り上げもついて来る宝の山だ。後は、いかに多くライブを行い、そのすべてをどうやって満員にするかと言う手法だけが問題となる。ここ最近活発な、CDや音源を無料で配ると言う動きは、この目的を達するための実験的なアプローチだろう。

ライブと言えば、インディの主戦場だ。インディこそ、いかに多くのライブを成功させるか、というアイデアを試し続けなければならないはずだ。でも日本では、ライブをそういう風に見ているインディはまだ少ない。しかし、そろそろメジャーデビューとか、著作権使用料とか、そんなことに思い煩わされるのでなく、効果的なライブを実現する手法と手段について真剣に考える時ではないだろうか。

Radioheadが価格のないレコードを直販

英国の人気ロックバンド、Radioheadは、新譜In RainbowsをRadioheadの公式サイトから直販すると、この10月1日に発表した。サイトへ行くと、予約受付中で、ボックスセットは12月に発売だが、ダウンロードは10月10日までに可能となっている。試しに予約してみようとすると、Priceが空欄になっていて、?マークが付記されている。?をクリックすると、好きな値段を決めろ、と言われる。試してはいないが、0ポンドを指定すれば、クレジットカード決済の手数料0.45ポンドだけで、無料ダウンロードもできるようだ。1ポンドは240円前後だから、4ポンドが約1,000円と考えて良いだろう。indierevolution.jpもRadioheadが好きなので、とりあえず4ポンドで予約してみた。発売と同時にダウンロード用の情報がメールで送られて来るはずだ。Radioheadは2003年でEMIとの契約が終わっているので、現在はインディという状態のはずだから、新譜をサイトで直販しても驚くことはない。しかし買い手に価格を付けさせると言うのは、一部のインディが行っているが、一般化はしていない。しかも、聴いてから適正と思われる値段をつけるのでなく、内容がまったく分からないままに値段をつけると言うのは他に例がないだろう。過去の例からすると、買い手に値段を付けさせると、概ね、平均的な価格より高く値付けする傾向にあるらしい。この辺の買い手の心理と言うのは、学術的に分析されるべきだろうが、インディとファンのコミュニティの将来の姿を模索する意味では、面白い試みだ。いずれにしろ、インディとは、すべてを自分で決めて、自分で制御することに他ならない。正しいと思った道、あるいは単に面白そうだと思った方法を、バンバン試してみることができる。それこそインディならではの醍醐味ではないだろうか。

この辺、米国のファイル共有による著作権侵害に関する訴訟の中で、SONY BMGの
Jennifer Pariserが10月2日に証言した「自分で買ったCDから曲をリッピングするのは窃盗です」という内容とからめて考えると面白い。Jennifer Pariserによれば、レコード会社は、レコードを売る以外に収入がないので、ファイル共有に代表される違法利用が直接会社を傷つけ、SONY BMGの場合は、今では2000年の半分の会社規模になったそうだ。レコード会社がレコードを売る以外にも収入を得ていることは周知の事実で、なぜこのような発言を行ったのかは分からないが、CDから曲を複製する行為自体が違法だとする考え方は、かなり極端なものと言えるだろう。この発言が、すべてのレコード会社の考えを代弁しているとは思えないが、レコード会社が「レコード」は自分たちのものであると信じてきた証拠にはなる。しかし、本当にレコードはレコード会社のものだろうか?少なくとも、録音された「作品」は、作詞作曲者のものであり、演奏したアーティストのものであり、プロデュースしたプロデューサのものであり、応援したファンのものであっても、レコード会社のものではないはずだ。この辺、一時代前のレコード会社とアーティストの関係や原盤権の考え方や解釈の違いもあるので、これ以上は突っ込まないが、レコード会社側がこのような発言を繰り返せば、Radioheadのように、レコード会社とは距離を置くアーティストが増えていくだろう。海外では、インディだけでなく、メジャーの間でも、原盤権も含め、作品そのものの権利は自分たちで維持し、レコード会社はあくまでレコードを流通させるための会社として外注あるいは下請け的に契約する、という流れができ始めている。以前なら、スタジオでの録音やツアーの経費などをレコード会社が負担することで、作品やライブの権利をレコード会社が持つと言う図式だったから、アーティストはレコード会社の言いなり、ということもあり得たが、今や録音もミックスダウンも自分たちで行い、ライブの告知やブッキングも、チケット販売さえ自分たちでできる時代だ。自分でできることは自分でやると決めれば、おのずとレコード会社との関係や互いの立ち位置も明らかになるだろう。日本のインディシーンにも、数年遅れでこの波は訪れると思うから、その時になってショックを受けたり、右往左往したりしないように、今から心の準備をしておいた方が良い。

MSがZuneの新モデルを発表

米Microsoftは、この10月2日にiPodに対抗する同社の携帯音楽プレイヤ、Zuneの新モデルを発表した。Zune Padというタッチパッドを新しい操作インタフェースとして搭載し、Wi-Fiネットワークに自動接続してPCとコンテンツを同期できる。他のZuneユーザとの音楽交換もより使いやすくなり、楽曲を販売するZune Marketplaceも全300万曲以上(内、100万曲はDMRフリー)と充実される。さらにSNS的なコミュニティも立ち上げて、ユーザは自分のホームページに自分が聴いている曲が掲載されるZune Cardという一種のウィジェットも提供される。Zune Card経由では、試聴、コメント、購入なども行える。価格は80GB HDD版が249.99ドル、フラッシュメモリ版は8GBが199.99ドル、4GB版が149.99ドルとなる。仕様的には、iPod nano、iPod Classicとも十分競合できそうだが、全体的なデザインのセンスに加え、iPod touchのインパクトとiTunesをWi-Fi経由で利用できる便利さでiPodには及ばない。Microsoftとしては、この戦いを長丁場と見ているのだろうが、彼らにとっては、本当に長い戦いになりそうだ。

レーベルゲートがmora winをリニューアル

レーベルゲートは、この10月2日に有料の音楽配信サービス、mora winを"mora win" Type1 Music Storeとしてリニューアルした。Windows Media Player 11(Vistaに標準装備)にプラグインを入れることで、高速リアルタイム検索やSNS、ランキングなどのサービスも使えるようになるそうだ。mora winは、同社のmoraのWMP版ともいえるサービスだが、moraがどちらかといえばSONYを筆頭とする日本のレコード会社が今売りたい音楽に比重があるのに対し、mora winは、過去のヒット曲も含め、もっと広範な音楽のジャンルとカテゴリーをカバーするiTunes Store的な総合ショップと言える。現状、moraの方がmora winよりも売り上げがあるようだが、遅かれ早かれmora winに抜かれてしまうのではないだろうか。それは一過性のヒット曲対長く愛されるロングヒットというコンテンツの違いもあるが、サービスの使い勝手や互換性などの全体的な設計とイメージにおいてmora winの方が優れているからだ。かと言って、moraをやめるとなれば、moraから購入した楽曲データなどをmora winに引き継がなければならないから、一朝一夕には移行は実現できないだろう。いずれにしろ、mora winが順調に成長しているのは良いことで、日本のデジタル音楽販売市場の健全な将来も予感させてくれる。