EMIが楽曲を無料配布

Princeが新譜を新聞のおまけに付け、Radioheadが言い値で新譜を売る時代だから、何が起きても驚きはしないが、さすがにレコード会社自身が無料配布を行うとなれば、無視はできない。EMIは、New York Daily News紙の2月3日の紙面に記載されたコードをNydailynews.comで入力することで、12万曲のラインアップから3曲を無料でダウンロードできるキャンペーンを行う。

音楽を無料配布すると、音楽の価値が下がると言う向きもあるが、元々音楽の価値とは金額換算されるものではなく、その作品としての質で決まるはずだ。もちろんその「質」の評価は、時代や環境によって変わるだろうが、無料で配布したら価値が0になってしまうことはあり得ない。ましてや、無料といっても、どこかでだれかがお金を払っているか、放棄しているか、別の手段で対価が見込めるか、なわけだから、金銭的な意味での音楽の価値云々という議論は全く意味をなさない。あるとすれば、音楽ファンが音楽を軽んじる時代が来るのではないか、という不安と恐怖なのかも知れないが、原初的な音楽の意味を考えれば、音楽とは宗教や哲学とも関係しているし、ライフスタイルとも関係しているわけで、無料で入手したから軽んじる、ということは想像しにくい。軽んじられる音楽は、その程度のものだったと思うしかない。

今起きていることは、単に新しい音楽の販売の仕方が生まれつつあるだけだ。やや試行錯誤して入るが、確実に新しい時代の夜は明けつつある。海外では今後もこの傾向が続くだろうし、その波は否応無しに日本にも届く。対岸の火事を決め込んでいる業界関係者は、後で泣きを見ないように今から準備しておくべきだ。