Radioheadが価格のないレコードを直販

英国の人気ロックバンド、Radioheadは、新譜In RainbowsをRadioheadの公式サイトから直販すると、この10月1日に発表した。サイトへ行くと、予約受付中で、ボックスセットは12月に発売だが、ダウンロードは10月10日までに可能となっている。試しに予約してみようとすると、Priceが空欄になっていて、?マークが付記されている。?をクリックすると、好きな値段を決めろ、と言われる。試してはいないが、0ポンドを指定すれば、クレジットカード決済の手数料0.45ポンドだけで、無料ダウンロードもできるようだ。1ポンドは240円前後だから、4ポンドが約1,000円と考えて良いだろう。indierevolution.jpもRadioheadが好きなので、とりあえず4ポンドで予約してみた。発売と同時にダウンロード用の情報がメールで送られて来るはずだ。Radioheadは2003年でEMIとの契約が終わっているので、現在はインディという状態のはずだから、新譜をサイトで直販しても驚くことはない。しかし買い手に価格を付けさせると言うのは、一部のインディが行っているが、一般化はしていない。しかも、聴いてから適正と思われる値段をつけるのでなく、内容がまったく分からないままに値段をつけると言うのは他に例がないだろう。過去の例からすると、買い手に値段を付けさせると、概ね、平均的な価格より高く値付けする傾向にあるらしい。この辺の買い手の心理と言うのは、学術的に分析されるべきだろうが、インディとファンのコミュニティの将来の姿を模索する意味では、面白い試みだ。いずれにしろ、インディとは、すべてを自分で決めて、自分で制御することに他ならない。正しいと思った道、あるいは単に面白そうだと思った方法を、バンバン試してみることができる。それこそインディならではの醍醐味ではないだろうか。

この辺、米国のファイル共有による著作権侵害に関する訴訟の中で、SONY BMGの
Jennifer Pariserが10月2日に証言した「自分で買ったCDから曲をリッピングするのは窃盗です」という内容とからめて考えると面白い。Jennifer Pariserによれば、レコード会社は、レコードを売る以外に収入がないので、ファイル共有に代表される違法利用が直接会社を傷つけ、SONY BMGの場合は、今では2000年の半分の会社規模になったそうだ。レコード会社がレコードを売る以外にも収入を得ていることは周知の事実で、なぜこのような発言を行ったのかは分からないが、CDから曲を複製する行為自体が違法だとする考え方は、かなり極端なものと言えるだろう。この発言が、すべてのレコード会社の考えを代弁しているとは思えないが、レコード会社が「レコード」は自分たちのものであると信じてきた証拠にはなる。しかし、本当にレコードはレコード会社のものだろうか?少なくとも、録音された「作品」は、作詞作曲者のものであり、演奏したアーティストのものであり、プロデュースしたプロデューサのものであり、応援したファンのものであっても、レコード会社のものではないはずだ。この辺、一時代前のレコード会社とアーティストの関係や原盤権の考え方や解釈の違いもあるので、これ以上は突っ込まないが、レコード会社側がこのような発言を繰り返せば、Radioheadのように、レコード会社とは距離を置くアーティストが増えていくだろう。海外では、インディだけでなく、メジャーの間でも、原盤権も含め、作品そのものの権利は自分たちで維持し、レコード会社はあくまでレコードを流通させるための会社として外注あるいは下請け的に契約する、という流れができ始めている。以前なら、スタジオでの録音やツアーの経費などをレコード会社が負担することで、作品やライブの権利をレコード会社が持つと言う図式だったから、アーティストはレコード会社の言いなり、ということもあり得たが、今や録音もミックスダウンも自分たちで行い、ライブの告知やブッキングも、チケット販売さえ自分たちでできる時代だ。自分でできることは自分でやると決めれば、おのずとレコード会社との関係や互いの立ち位置も明らかになるだろう。日本のインディシーンにも、数年遅れでこの波は訪れると思うから、その時になってショックを受けたり、右往左往したりしないように、今から心の準備をしておいた方が良い。