インディがCDを制作するべきかどうか、という判断は、日に日に難しくなっています。というのも、iTunes Storeのようなデジタル販売を使えば、より安く、楽に、効率良く楽曲を販売できる上に、今や音楽業界の潮流がストリーミングによる定額聴き放題へ向かっているからです。

さらに言えば、すでにパソコンにCDドライブが付いていないし、7%の家庭にはCDプレイヤがなく、10代と20代では11%強がCDプレイヤを持っていないということだ。つまりCDを売ろうとしても10人に一人はCDを買うことはあり得ず、この割合は今後も少しずつ増えていくだろう。

世界の音楽業界を見た場合、2018年度の米国のCDの売り上げが前年比で30%以上減っていることから終焉に入りつつあることは事実で、大金をはたいてCDをプレスする意味はほとんどないように思われます。世界でまだCDが売れている唯一の国として知られる日本でさえ、2017年のCDの売り上げは前年度比で3パーセント落ちている一方でデジタル配信は8%の成長となっているのです。

もちろんCDという物理的な媒体がないとリスナーとの接点が見えにくくなり、漠然とした不安を感じることもあります。特にライブでCDを手売りしているインディは、その時に生まれるリスナーとの交流が楽しいということもあるでしょう。あるいは一曲ずつ購入できるデジタル販売では、アルバムのトータルなコンセプトが維持できないため、どうしてもCDが必要という考え方もあります。

CDを作るべきなのでしょうか?

答はインディによってまちまちでしょうが、一つ言えるのは、CDはまだ死んではいない、ということです。CDの売り上げは落ち続け、デジタル販売が伸び続けていても、実際のところ、2018年の時点では、少なく見積もっても欧米のCDの売り上げは、まだデジタル販売の10%以上はあるのです(デジタル販売の伸びについては、ネット上にたくさん情報があるので、各自調べていただければ良いと思いますが、
IFPIのレポートはよくまとまっていて参考になると思います)。特にインディの場合、デジタル販売サービスの膨大なカタログの中ではメジャーなタイトルに埋没しがちなため、CDを売った方が効率が良い傾向にあります。

ちなみに
IFPIのレポートによれば、2017年の世界の音楽業界の売り上げにおけるCDの売り上げは30%あります。もっとも、この内のほとんどが音楽業界の売り上げの70%以上をCDが占める日本で、次にCDが売れているドイツでも43%しかないわけで、世界的に言えば日本が特殊であるということは考慮しなければならないでしょう。

最近の国内のある種の調査でも、CDを買わずデジタル販売しか利用しないインターネット利用者は10%強しかいないようです。このような数字を鵜呑みにして、業界全体に当てはめるのは稚拙な行為ですが、CDがまだ死んでいないことは確かでしょう。いずれはCDはなくなるとしても、それは、まだ先であるということです。

CDのプレスもかなり安くなってきていますし、インターネット時代のマーケティング手法を使えば、以前よりも販売しやすくなっています。1,000枚で10万円程度の予算なら、4人のバンドで一人が2万5千円出せばいい計算です。決して安くはありませんが、ちょっとお菓子を控える、外食を控える、酒煙草をやめる、などとがんばれば捻出できる金額でしょう。それにCDが売れれば、元は取れるわけだし。

また海外では一般的なCD-Rを使った少量で格安の
デュプリケーション(プレスではありません)も、日本で少しずつ普及してきたようです。

「売れなかったら、赤字になる、在庫を抱える」という不安からCDの制作を躊躇しているなら、まずはCD-Rデュプリケーションを利用したら良いでしょう。売れるか売れないか、は、楽曲の内容や品質にもよりますが、インターネットを利用して極力売りやすい環境を作る方法については、別の項で考察しますので、そちらも参考にしてください。